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【読書】「桜井政博のゲームについて思うこと2015〜2019」感想

お疲れ様です。

 

 

桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019

桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019

 

 

読みました。

 

この本は「星のカービィ」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」の生みの親である桜井政博さんが、週刊ファミ通に連載しているコラムを、2015年1月分から2019年2月分までまとめたものです。

ゲームの発売時期で言うと、「スマッシュブラザーズ for WiiU」から「大乱闘スマッシュブラザースSPECIAL」までの期間になります。

制作側としてのエピソードや細かい仕様についての話はもちろん、自身もかなりのゲーマーである桜井さんが遊んだ数々のソフトの感想がかなり面白い。

「FF XV」が発売された時、おにぎりの描写にかなりこだわりがあるということに対し、ネット上ではピクサーの1セントコインの話を例に取り、少し叩かれていたのですが、それに対する桜井さんの見解には納得させられました。

また、「ポケモンGO」や「モンスターストライク」等のスマホゲームについての話もあり、現在スマブラ等のいわゆる『テレビゲーム』制作の第一線の方が『スマホゲー』をどのように考えているかが興味深かったです。

自分が持っていないゲームの回を読むと、桜井さんの熱量と文体の上手さでどんどんそのゲームに惹き込まれ、つい欲しくなってしまうのですが、中でも僕が一番惹かれたのは「Life is Strange」です。

ペルソナ5」「スパイダーマン」等でPS4の購入欲が高まっていたのですが、このコラムを読んで完全に買う決心をしました。

ファイアーエムブレム if」の話では、一部のユーザが思っている、『ある要素を削除する』ことについての見解が書かれていました。

このゲームは、もともとの時点でイケメン・美女キャラが強くなりやすいゲーム(ここは僕の考えであり、コラムに書いてあることではありません)なのですが、この「ファイアーエムブレム if」では更に『主人公の家で仲間の頭や顔をなでたりして親密度を高める要素』が加わりました。

これに対して一部のユーザから『ギャルゲーかよ』『ファイアーエムブレムはもっと硬派であってほしい』のような批判がありました。

実はこれ、僕もまさに『一部のユーザ』だったんですよね。正直いらんから消してほしいとすら思っていました。

この要素に対し桜井さんは、自身もどちらかというとその要素は遊び手として好むものではないのでその一部のユーザの気持ちはわかるとしながらも、『ゲームの肉づけやサービスは、みんなに公平なものではない』との姿勢を示されました。

しかしながら、『こういったサービスは、ゲーム攻略・クリアに必須の位置づけにしないほうがよい』ともあり、ゲームのそういった要素をどこまで入れるかの難しさが感じられました。

まあ確かにそういうのが好きなユーザが次回作でそれが無くなったら『なんで無くしたんだ』と思うんでしょうね。この本には話題は無いですが「ファイアーエムブレム 風花雪月」はどのようなシステムになるのでしょうか。

てか桜井さんめちゃくちゃ忙しいはずなのに、一体いつこんなに大量のゲームをプレイしているんだ・・・。

家にテレビが2台とエアロバイクがあり、1台でゲームをしながらもう1台のテレビで録画したものを流し、エアロバイクを漕ぐ毎日とのことです。

ここまでは遊び手としての話。造り手としては、やはり主に「スマッシュブラザース」「星のカービィ」の話が多かったです。

「スマッシュブラザース」のファイターのうち「ファイアーエムブレムシリーズ」のキャラが多いことは桜井さん自身も思っていたことであるとか、「星のカービィ」の頬の2本線は実は桜井さんは消してほしいと思っていたとか、読んでいて発見だらけでしたね。

あと、最近は普通になっている『発売後のアップデート』や『DLC』『シーズンパス』のような要素についても、まず製作者としての思いや、実際にどのように制作を進めているのかがわかります。「スマッシュブラザース SPECIAL」で最初のDLCが「ペルソナ5」のジョーカーになった辺りの話もありますよ。

また、細かいところでは、なぜ「スマッシュブラザースX」ではショルダータックルを使っていたワリオが「スマッシュブラザース for WiiU」以降は裏拳になったのかというマニアックな話もあります。

個人的には「スマッシュブラザースSPECIAL」の一番最初のPV(スプラトゥーンインクリングが撃ち合ってたらスマブラのロゴが現れてマリオとリンクがメンチ切ってるやつです。覚えてますか?)が世に出た次の回のコラムの桜井さんの出だしがめっちゃ好きです。

このコラムが世にでるころ、なんらかのタイトルを発表した後だと思いますが、まだタイトルを出しただけ。いまは静かに制作を進めています。

か・・・かっこええ・・・。

当初そのPVを見てめっちゃテンション上がってた記憶が呼び起こされました。 

そうそう、各コラムの末には今の桜井さんが当時のコラムを読んでのコメントも記載されています。

2015年に最先端として発表されたゲームのコラムを今読んでどう思うかや、その当時はスマブラの企画はどこまで進んでいたか等、今だからこそ言えることも書いてあり、そちらも隅々まで読みました。

いやもうほんとね、この本は面白すぎる。特に「スマッシュブラザース」ファンはこの本は必読だろと。いや、もう全てのゲーム好きの方はこの本を必ず読むべきです。後悔しないと思います。

 

以上です。

よろしくお願いします。