或るレールを渡る

そして通り過ぎて行く

【読書】「高い窓」感想

高い窓

高い窓

私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いにもどこか裏がありそうな気配だ。マーロウは、リンダの女友だちや金貨の所在を尋ねてきた古銭商に当たるところから調査を始める。が、彼の行く手には脅迫と嘘、そして死体が待ち受けていた―『高い窓』の新訳版。

読みました。
「大いなる眠り」「さよなら、愛しい人」に続いてフィリップ・マーロウを主人公とする探偵小説の3作目です。

正直今回のは読むのに時間がかかりました。
前作の「さよなら、愛しい人」では、マロイという魅力的なキャラクターがおり、それに振り回されながらも芯を持って事件に食らいつくハードボイルドなフィリップ・マーロウがカッコよく読み進められました。
今回の「高い窓」は、なんとなくですが全体的にさっぱりとしているような気がします(読むのに時間がかかり、前の展開が少し記憶から無くなっている状態が続いたせいかもしれませんが)。
とはいっても随所にみえる台詞のやり取りの心地よさは健在で、それを楽しむのがフィリップ・マーロウシリーズなのでしょうね。

「なぜおれたちがここに来たか、きっと理由がわからないんだろうな?」
「同胞がひょいと立ち寄ることは、常に念頭に置いているよ」と私は言った。
「殺人は笑いごとじゃないぜ、マーロウ」
「誰も殺人が笑いごとだなんて言ってないぜ」
「態度がそう見える」
「気が付かなかったね」

僕は小説を読むときに登場人物を俳優に割り当てて頭の中で動かしているのですが、他にもそういう風に読んでいる人はいるのではないかと思います。
このマーロウですが、みんな誰を想像して読んでいるんですかね。
僕は「ベネディクト・カンバーバッチ」を想像しています。

さて、次は4作目の「水底の女」です。
読むのに何日かかるのだろう・・・。